2013年04月10日

【商宇徽菜館】胡適一品鍋

安徽風五目鍋
胡適一品鍋(hu2shi4 yi4pin3guo1)
P1080822.JPG
【ところ:朝陽門/ねだん:118元】

安徽料理が好きだ。
中国料理において、
安徽料理はおそらく日本人にとってマイナーな料理だと思う。
でも一度食べると意外とはまる。
なぜって、醤油を多用した濃い口の煮物が多くて、
なんだか日本の田舎のおばあちゃんが作る料理みたいなんだもの。
だからしばらく食べないでいると無性に懐かしくなって、
時折り安徽料理のお店に足を運ぶ。

その安徽料理の代表といえば、なんといっても臭桂魚。
たいていの安徽料理レストランのメニューに載っている。

▼これまでの「臭桂魚」関連記事
【池州市駐京弁餐廳】池州菜(之二)
【皖南水郷】安徽・皖南菜(熱菜篇)
【商宇徽菜館】黄山臭桂魚

そしてこの胡適一品鍋もかなりの定番料理だ。

干したタケノコ、切干大根、塩漬けしたアヒル肉・鶏肉・豚バラ肉、
揚げた豆腐、それに薄焼き卵で作った餃子(蛋餃dan4jiao3)などなどを
大鍋でグツグツ煮込んである。

P1080823.JPG
(大鍋は両方に取っ手のあるタイプが決まりらしい)

ただ具を放り込んであるのではなくて、
いくつかの層に分けて具を積み上げるようにしてある。
鍋底の一番下の層が冬瓜、タケノコ、干した大根やインゲン、タケノコの皮など、
その上に豚や鶏などのお肉、揚げた豆腐、肉団子などが乗る。
何層にも具を積み上げた後は3〜4時間じっくり煮込んで味を含ませる。

P1080825.JPG
(こうして俯瞰で見ると、鍋、でかっ!)

濃い口にしっかり味付けられた煮汁と、
じっくり煮込まれた具材から染み出た複雑な旨味。

いやあ、これはね、
いわゆる一つの「下飯(xia4fan4)=ご飯が進む」なおかずだ。
いや、「下酒(jiu3)=お酒が進む」つまみでもあるな。

P1080826.JPG
(手前のが蛋餃)

クツクツと煮え立つ鍋から、
「次は肉、それから蛋餃……」
などと、思うがままにちょっとずつつつきながら、
安徽の白酒をクイッ!
むほほ、こういう濃い口の重めの味には白酒がよく合いますなあ。

***

さて、この五目鍋に
なぜ胡適一品鍋などというなんだか文学的で雅な名前がついているのか。

この鍋はもともと安徽省績渓県というところの料理で、
元の名前は績渓一品鍋という。
績渓は今は安徽省宣城市の管轄下にある県で、
かつては「徽州三県」と呼ばれた歙県、休寧県、婺源県に次いで重要な県城だったそうだ。

名物料理には歴史上の人物にまつわる言い伝えが残っていることが多いが、
この料理も例外ではない。
言い伝えの主人公は乾隆帝だ。
(このパターンの二大スターは乾隆帝と西太后!)

乾隆帝が江南に行幸した際、
九華山から徽州府へと向かう途中ある農家に一夜の宿を求めた時のこと。
農婦が昼の残り(!)のおかずを
下に野菜、上に肉の順に鉄鍋に敷いて温めて出したところ、
乾隆帝はおおいに気に入り、農婦に料理の名前を尋ねた。
農婦が「一鍋熟」(「大鍋で作った煮物」くらいのイメージかな)と答えると、
乾隆帝はその俗なことを嫌って自ら「一品鍋」と名づけたという。
そのこころは、
「値得一品(zhi2de yi4pin3)、つまり一食の価値がある美味」。
さらには、
「皇帝と食事を共にした者は“一品”(最高の官位)と呼ぶに堪える」
という二重の意味も込められていた。
それ以降「一品鍋」は績溪のおもてなし料理になった、
ということなんだけど、はて、ホントかいな?

それはさておいて。
気になるのは、
皇帝から賜ったありがたい名前の前にさらに冠されている「胡適」である。

胡適は、五四運動の頃から白話文学を提唱した文学者・思想家・教育行政家。
北京大学教授を務め、第二次世界大戦中は駐米大使にもなった。
この胡適さんが、安徽省績渓の出身なのだ。
(ちなみに胡錦濤、正確に言うと胡錦濤の祖先も績渓出身)

▼胡適についてはこちらをどうぞ。
ウィキペディアの「胡適」のページ

胡適はよくこの「一品鍋」で客人をもてなした。
駐米大使時代にも「一品鍋」をふるまうのが常だったという。

こうして、清朝皇帝から賜ったありがたい「一品鍋」という料理名の前に
さらに「胡適」がくっついたということらしい。


▼これまでの「商宇徽菜館」関連記事
【商宇徽菜館】黄山臭桂魚
【商宇徽菜館】安徽菜


◆お店情報
商宇徽菜館
東城区朝陽門外潘家坡胡同5号
010-6551-1598/6552-2480
P1050723.JPG
<アクセス>
地下鉄2号線「朝陽門」駅のA出口を出て、朝陽門外大街を東へ。
最初の角(小肥羊のある角)を左折して吉市口路を北上し、
1つ目の信号を越えて3本目、美恵大廈のすぐ南側にある胡同(潘家坡胡同)を右折。
P1050720.JPGP1050721.JPG
しばらく行くと左手(道の北側)に入り口が見えてきます。
(入り口には「徽菜館」とだけ看板が出ています)


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posted by ayazi at 18:00| 北京 | Comment(0) | 地方菜(各地方の料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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