2012年07月20日

【大董烤鴨店】董氏焼海参

大董風ナマコの煮込み
董氏焼海参(Dong3shi4 shao1 hai3shen1)
P1040070.JPG
【ところ:東四十条/ねだん:268元】

大董の北京ダックはおいしい。
が、北京に住んでいるとそんなに何度も行くような店ではない。
私は日本からの出張者対応が多いわけでもないし、
今となっては日本から北京に遊びに来る友人もみなリピーターばかりで
大董の北京ダックはもう経験済み。
だから最近はすっかりご無沙汰だった。
それに人気店で予約が入りにくいし、値段も高い。

それがある日、友人に誘われて久し振りに行くことになった。
お目当ての料理は北京ダックではなくて、ナマコだ。
北京ダックと並ぶ大董の看板料理。
高いのは承知だったが、
やはり一度食べておかなければと思っていたのでちょうどよい機会だった。

大董さんはもともと豊澤園の名コック、王義均さんの愛弟子。
王義均さんの作る葱焼海参は豊澤園の名物料理で、
そのおいしさはつとに有名。
王義均さんには海参王の異名があるくらいだ。

▼豊澤園の葱焼海参はこちらから。
【豊澤園飯荘】魯菜(之三)〜葱焼海参

弟子の大董さんの焼海参は、
ナマコ全体に味が染みわたるような調理法を開発したそうで、
その濃厚な味わいが自慢。

この料理を注文すると、
コックさんがテーブルの横で作ってくれる。

P1040064.JPG

後ろに写っているプロモーションビデオ(!)でもちょうど焼海参を作ってる!

ナマコ調理中。

P1040065.JPG

この料理が有名なのは、
その味もさることながら、
大董が創始したと言われる「中国意境菜」の代表的料理だから。
水墨画からインスピレーションを得た盛り付けで、実に絵画的なのだ。

P1040069.JPG

ナマコが松の幹なのですな。
大董さんの設計通りに盛り付けできるように、
この料理専用のお皿まである。
ナマコの位置がへこんでるのが分かります?

P1040072.JPG

お味のほうは、
豊澤園のものよりもさらに濃厚な深みのある味。
ナイフとフォークが用意してあるからというわけではないが、
赤ワインが欲しくなる。
そして確かに、ナマコの中までしっかり味がしみこんでいて、
ふにゅんくちゅんとやわらかい。

でもね、濃厚すぎてちとくどい。
食べた後口の中がべたべたしていやな感じが残った。

それを知ってか、焼海参を食べた客にはシャーベットがサービスされる。
この日はクワノミのシャーベット。

P1040073.JPG

これが甘さ控えめでとてもおいしいのだけれど、
むむむ?待てよ?
そもそも焼海参を食べやすく作れば口直しのシャーベットなど要らないのでは?

大董の北京ダックはサクサクで確かにおいしいし、
中国画のようなお絵かき風の盛り付けは
まあ美しいと言えば美しいと言えなくもない。
私も最初に見た時は結構感激した。
でもこればかりが続くと少々食傷気味。
盛り付けでちょこちょこいじって冷めちゃうくらいなら
ジャジャッと炒めてガバッと盛ってサッサと持って来いや!!
という気持ちになってくる。

しかも、「創意菜」を作り続けることを身上としているらしく
山ほど創作料理が生み出されているようなのだけれど、
それらはどうも創作のための創作というような気がしてならない。
創作料理を月に何品出せとかいうノルマがあるのか?
と勘ぐりたくなってくる。

この日食べた料理の中にもこんなのがあって、どうにも腑に落ちず。

香芒帯子巻(xiang1mang2 dai4zi juan3):26元
ホタテひものマンゴーロール

P1040055.JPG

確かに見た目は美しい。

P1040056.JPG

しかし、
「美味しい!こんな意外な組み合わせがあったなんて!」
と感激すればよかったのだが、
私にはどうも口の中で二つの味がしっくり溶け合わず首をかしげてしまった。
厚切りマンゴーの味が強すぎてホタテと調和していなかったのだ。
もう少しマンゴーが薄くスライスされていたらまだましだったかも。

他の料理もまずくはないけど(いや、おいしいんだ、確かに)、
オージービーフの葱炒めは羊肉の葱炒めでいいじゃんと思ったし、
董氏焼茄子はナスの旨みが全然感じられず、
煮込みダレがしみこんだスポンジを食べているみたいで、
普通の焼茄子のほうがよっぽどおいしいと思ってしまった。

葱爆澳州小牛肉(cong1bao4 ao4zhou1 xiao3niu2rou4):158元
オージービーフの葱炒め

P1040060.JPG

切り株のような鉄板で登場。

P1040061.JPG

董氏焼茄子(Dong3shi4 shao1 qie2zi):58元
大董風ナスの炒めもの

P1040062.JPG

ミントとローズマリー、そして八角……
いや、まずくはないんだけどね。
肝心のナスがおいしくなかったの。

香辣薫笋(xiang1la4 xun1sun3):38元
薫製タケノコのピリ辛和え

P1040052.JPG

沙姜鶏(sha1jiang1ji1):98元
ゆで鶏の生姜ソース

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清湯鴨四宝(qing1tang1 ya1 si4bao3):26元
アヒルの各種モツ入りスープ

P1040059.JPG

このスープはおいしかったです。

しかし、最後に頼んだ炸醤麺がまたすごくて腰を抜かした。

老北京炸醤麺(lao1bei3jing1 zha2jiang4mian4):26元
北京風ジャージャン麺

P1040075.JPG

混ぜるとこうなる。

P1040076.JPG

なんていうか、
サイズの合わない服を着せられたようで肩が凝ってくる。

フルーツは煙吐いて登場。

P1040078.JPG

無言……

さらに、店内にはプロジェクター映像が投影されているのだが、
この映像がお店のプロモーション映像で、
ここに大董さんがまあガンガン出てくること。
南方の山にタケノコ掘りに行ったり、
書画集を見て料理のインスピレーションを得ている風だったり、
コックたちの肩を叩きながら厨房に入ってきて
厨房全体を見渡して満足気にしていたり。
(サングラスかけてるから表情は不明だが)

「洒落てるでしょ?粋でしょ?」
と畳み掛けてくるような料理とナルシー映像に
最後の頃にはもうすっかり食傷してしまったのだった。

***

しかし、大董の影響力はすごい。
今、北京のちょっと高級志向のレストランの盛り付けはどこも
デカ皿にちょび盛り、花添えの大董もどきばかり。

大董が意境菜を打ち出した時は非常に革新的だったし、
創作中華の1つの方向として不動の地位を築いたと思う。
その功績は称えられるべきだ。

だが、大董の二番煎じに走る店があまりにも多すぎる。
このままでは北京のレストランがみんな大董もどきになってしまう。

今、北京の中国料理レストランをめぐる状況はある意味危機的だと思う。
より見栄えのいい、より高い金を取れる店へと
誰もが目の色を変えて雪崩を打つように向かっていった結果、
どこの都市にでもあるような画一的な店ばかりになってしまうのではないか。
そんな危惧を抱いてしまう。

人真似に走った料理は、もはや創作料理とは呼べないのでは?
創意菜(創作料理)は大董に学ぶべからず。

そして大董自身も、
今や創作料理の奴隷になっているように思えてきた。
革新は必要だと思う。
でも創作のための創作は要らない。
それに付き合わされて、
「こんなデカイ皿、どこに置いたらいいの?」
と料理が運ばれるたびにため息をつかされるのは正直言って興ざめだ。

ナマコは確かにやわらかくて美味だったが、
いろんな意味で食傷してしまった久し振りの大董だった。


◆お店情報
大董烤鴨店(東四十条店)
東城区東四十条甲22号南新倉商務大厦1-2階
010-5169-0329
<アクセス>
地下鉄2号線「東四十条」駅下車。
東四十条橋の南西角にある南新倉にあります。


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posted by ayazi at 00:00| 北京 | Comment(4) | 魚類(海鮮・川魚・魚介料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
新宿全聚徳の炸醤面↓を思いだしました。

http://blogs.yahoo.co.jp/jimmy_arakawa/33974404.html

この画像を見た北京人が、「コレ炸醤麺か」と言った」そうです。大董の炸醤麺の評判はいかがでしょうか?
Posted by ジミー荒川 at 2012年07月20日 20:21
>ジミー荒川さんへ

リンク先、見られませんでした。
で、食べログで写真を探してみたのですが、もしかしてあんかけ麺みたいなのがそうでしょうか?
だとしたら確かに北京の炸醤麺とはまったく別物ですねえ……

大董のは、一緒に食べた中国人は盛り付けには面食らってました。
味的には悪くなかったです。
Posted by ayazi at 2012年07月21日 09:04
まだ中国からは見られませんか。残念。

白くて無地の大きすぎる皿に、ちょこんと麺が盛られている姿が大董のとそっくりです。
でも味自体は、東京で一番北京に近い炸醤麺です。

中国人の考える高級ってこういう方向なのかな。
Posted by ジミー荒川 at 2012年07月21日 11:40
>ジミー荒川さんへ

そうなんです。
まだ見られなくて……せっかく教えてくださったのにすみません。

フレンチの影響でしょうか。
こういう盛り付けのお店、最近本当に増えました。
Posted by ayazi at 2012年07月22日 08:15
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