2012年02月03日

【豊澤園飯荘】魯菜(之五)〜熱菜篇

山東料理(その5)〜温かい料理篇
魯菜(之五)〜熱菜篇
P1000670.JPG
【ところ:珠市口/ねだん:記事参照】

この日必ず頼むと決めていた料理2品をまず単独でアップした後は、
頼んだものを一気にご紹介。

ちなみに、私が注文を考える時の順番はほぼ下記の通り。

前菜をまず頼み、
熱菜はお目当ての看板料理やお店のオススメを最初に数品。
それを骨にして、
素材や味付けのバランスを見ながら
「肉を使った料理→野菜だけの料理→スープ→主食」の順番に
足していくようにしている。

品数は前菜が人数の半分くらい、
スープや主食を含めた熱菜が人数と同じ皿数くらいを目安にする。
中国の人は皿数が偶数になるようにとか、
まあいろいろこだわるようだけれど、
私はあまり気にしない。
日本人の場合は野菜中心の料理を多めに取って、
お肉ものを頼みすぎないようにすると喜ばれる。

日本人どうしで中華料理を食べに行くと
1人1つずつ好きなものを頼むケースも多いようだが、これは避けたい。
前菜と熱菜のバランスはもとより
素材や味付けの組み合わせを無視することになり、
結果的に同じ素材と同じ味付けが重複してわやわやの食卓になってしまう。
1つ1つはおいしくても全体としてバランスの悪い偏った食事になり、
その食事全体の質を下げてしまうことにもつながる。

毎回自分でメニューとにらめっこし、
時にはお店の人に相談したり
テーブルを囲んだ人とあれこれ相談たりして頼む料理を決めるのは面倒だが、
逆に言えばそれが中華料理を食べる醍醐味でもある。
定食ものやコースに慣れてしまった日本人は
どうもこの作業を面倒臭がってサボってしまいがちだけど、
それは食卓をプロデュースする楽しみを自ら放棄していることのように思える。
もちろん言葉の壁はあるとは思うのだけれど、
それでもやはり出来る範囲で自分で注文することを強くオススメしたい。
あなた任せのラクチン注文ばかりしていると、
「自分の食べるものを自分で決める」
というごく基本的な自由選択の機会と能力をなくしてしまうように思うのだ。

と、分かったようなことを書いているが、
大人数の料理の注文は途中で何がなんだか分からなくなって
エイヤッ!と頼んでしまうことが多い。
このあたり、典型的な文系で論理的思考が不得手、
しかも物事を最後までやり遂げる粘り強さに欠ける自分らしいと思う。
料理のオーダーにはかくも人格が反映されるという好例だな。

と、雑談はさて置いて、料理の紹介を急ごう。

糟溜三白(zao1liu1 san1bai2):108元(大)
鶏肉、白身魚、タケノコの酒かす風味あんかけ

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同じく山東料理の老舗、同和居でも食べた料理。
豊澤園のメニューには確かそのものズバリのものはなかったけれど、
「糟溜三白」と言えば作ってくれる。

酒かすの風味とほんのりとした甘さがあって、
食べるとなんとなくほっとする味。
醤油味が中心になりがちな山東料理にあって、
このやさしいほんのりした味付けはとても貴重だし、
食卓のアクセントとしてもちょうどいいと思う。

両吃干炸丸子(liang3chi1 gan1zha2 wan2zi):66元(25cm)
揚げ肉団子・2種類の調味料添え

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甘辛のタレと椒塩を添えた肉団子。
ポイッと口に放り込みたくなる絶妙サイズで、
気づけば何個食べたことか。

干焼活桂魚(gan1shao1 huo2 gui4yu2):216(108元*2斤)
ケツ魚の揚げ煮

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大人数だから普段は避ける魚料理も頼んでみた。

清炒蝦仁(qing1chao3 xia1ren2):108元(25cm)
エビの炒めもの

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これも普段はまったく頼まないけど
老舗だしたまにはいいかと思って注文。
意外に美味。
日本人ウケはよさそうなので
日本人向けの食卓なら定番注文メニュー入りさせてもいいかも。

芫爆肚絲(yuan2bao4 du3si1):158元(25cm)
豚胃袋の香菜炒め

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モツものをもう1品。
豚の胃袋と香菜は定番の組み合わせ。

醤爆鶏丁核桃(jiang4bao4 ji1ding1 he2tao):50元(25cm)
鶏肉とクルミの甘味噌炒め

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「醤爆(jiang4bao4)=甘味噌で炒めたもの」が一つ欲しいと思って頼んだ料理。
たいていは鶏肉とキュウリ、ニンジンで作るが、
ここではクルミが入っていた。
ちょっと贅沢。
写真はブレブレでいけてないが味はなかなか。

鍋塌豆腐(guo1ta1 dou4fu):42元(大)
豆腐の揚げ出し風

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ピカタというか揚げ出し豆腐風というか、
衣をつけて揚げ焼きにした豆腐をスープで軽く煮た料理。
これ、味がほとんどなくて
「調味料入れ忘れた?」
という感じ。
化学調味料を入れるなと言ったから?
そりゃつまり、
この料理は普段化学調味料バンバン入れて作ってるってことか。

ちなみに、鍋塌豆腐自体はほんとはおいしい料理です。

▼ちょっと変わりバージョンだけど、料理についてはこちらをどうぞ。
【悦賓飯館】鍋塌豆腐合

ここからは野菜もの。

栗子扒白菜(li4zi pa2 bai2cai4):42元(大)
栗と白菜のうま煮

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できれば青菜を頼みたかったのだがピンとくるものがなく、
定番といえば定番の栗と白菜のうま煮を頼んだ。
日本人には新鮮な組み合わせだし、
味も大きく外すことがないので安全パイかな。

葱香杏鮑磨icong1xiang1 xing4bao4gu1):38元(25cm)
アワビタケの葱風味炒め

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野菜ものを頼むのに頭を悩ませていたら店員さんが勧めてくれたもの。
野菜というか、キノコだけど。
一度素揚げしたアワビタケを葱のぶつ切りと一緒に炒めて
甘辛い醤油味で味付けしてある。
これがよかった!
妙に気に入ってひとり箸を動かし続けてしまった。

炒三不粘(chao3 san1buzhan1):120元(25cm)
卵黄と緑豆粉のカスタード風練り菓子

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かなり強烈に甘いのでメニュー名は「菓子」としたけれど
位置づけ的には炒めものに入るらしい。
同和居の看板料理として有名だ。

前出の糟溜三白に大量の卵白を使うので、
余った卵黄を無駄にしないために考案された料理とか。

緑豆粉と卵黄を火にかけ、
大量の油を入れながらひたすら、ひたすらかき混ぜ続けるという
実に忍耐力と根気の必要な料理らしい。

三不粘という奇妙な名前は
「一不粘盤、二不粘匙、三不粘牙」
(皿につかず、レンゲにつかず、歯につかない)から。
その名の通り、スライムのような不思議な質感が特徴的だ。

味はまさにカスタードというか、甘いマヨネーズ。
油が半端なく使ってあるしお味的にもかなり濃厚なので
正直なところ一口で十分。

豊澤園のものにはなぜか人工的なレモンの香りがついた変り種。
それがちょっと珍しくていつもよりは食べてしまったが、
仕上がりがざらついてダマダマしていてなめらかさに欠ける。
やはり同和居のほうが格段においしい。

燴烏魚蛋湯(hui4 wu1yu2dan4 tang1):108元(大)
イカ卵巣のあつもの

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スープなので頼む順番は遅くなったが、
これもマストアイテムとして注文を決めていた料理。
イカの卵巣は「イカキン」と言うそうです。

ここから先は主食。
豊澤園の名物主食を3つ頼んでみた。

烤銀絲巻(kao3 yin2si1juan3)(一楼):2.5元(1個)
焼き銀糸巻き

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*(一楼)と書いてあるってことは、
 二階(個室?)に行くともっと高くなるのかな……

細長いマントウの中に細くよった「銀糸」が包まれている
なかなかに手の込んだもの。

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これは「銀糸」が同和居のものより細くて、
生地もとてもなめらか。

烤饅頭(kao3 man2tou)(一楼):1.5元(1個)
焼きマントウ

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外側香ばしく中はふわふわ。
北京に来た当初は
「中身のない肉まんなんて」
と思ってたけど、間違っていた。
ふかしたてのマントウはうまい。
それを焼いたのも輪をかけてうまい。
(ふかしたてじゃないかもしれないが)

杠頭(gang4tou)(一楼):3元(1個)
山東風の硬焼きパン

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何か分からないながらも、名物らしいから頼んでみた。

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パンなのか菓子なのか微妙な感じのごく薄い甘さ。
そして何より特徴的なのがその硬さ!

ガッチガチに固まってしまったクッキーというか卵ボーロというか。
まずくはないのだが、いかんせん硬すぎる。
味見したくて頼んでみたけど、これはもういいかな。

河套三星老窖(he2tao4 san1xing1 lao3jiao4):88元
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お酒はまずはビールで始まり、
途中から会の主旨的にやはり白酒へ。
12人で(飲まない人もいたが)2本だから
「豊澤園で土曜の昼から白酒くらって山東料理の会」
にしてはおとなしすぎたか。

***

かなり期待して訪れた豊澤園だったが、
総じて言えば期待ほどの味ではなかった。
盛り付けもなんだかぞんざいな感じで多少失望した。
料理によっては瞠目したものもあったけれど、
全体的に雑な作りだなあというのが正直な感想だ。
いや、そのへんの店に比べればきちんと丁寧に作ってあるにはある。
ただ老舗の看板とお値段に追いついていないので、
どうも納得できないもやもや感が残った。
ぞんざいな盛り付けも庶民的な店ならば
「この豪快さがいいのだ」
と思えるが、
豊澤園ほどの老舗だと手抜きに思えてしまう。

また、料理が出てくる順番があまりにもしっちゃかめっちゃかで
だいぶん興がそがれた。

▼実際の料理の出てきた順番はおおたまさんのブログでどうぞ。
北京「豊澤園」

1階のホール席だったから手を抜かれたのだろうか。
個室を取ればせめて前菜が出てからほかの料理が出たりしたのだろうか。

料理の順番メチャクチャ問題はこちらのレストランでよく見られるが、
これほどひどいのは久し振りだ。
これもまた
「老舗なのにこれはないだろう」
とガッカリした点の一つだ。

ということで、
「一度は行かねばなるまい」と思っていた豊澤園は、
「一度は行くべきだけど、一度行けばいいや」なレストランといったところかなあ。
でも九転肥腸はまた味わいたい。


▼これまでの「豊澤園飯荘」関連記事
【豊澤園飯荘】魯菜(之一)
【豊澤園飯荘】魯菜(之二)〜涼菜
【豊澤園飯荘】魯菜(之三)〜葱焼海参
【豊澤園飯荘】魯菜(之四)〜九転肥腸


◆お店情報
豊澤園飯荘(珠市口総店)
西城区珠市口西大街83号(煤市街付近)
010-6313-3328
P1000692.JPG
<アクセス>
地下鉄2号線「前門」駅から前門大街を南下し、
珠市口大街にぶつかったら右折して西方向へ。
珠市口大街と煤市街がぶつかるT字路の北西角にあります。
巨大な建物なのですぐ分かります!
「前門」駅から歩くと30分弱かかるかも。

*豊澤園のHPはこちら
豊澤園官方網站
(お店の地図もあります)

*料理はどれも
「不要放味精(bu2 yao4 fang4 wei4jing1)」(化学調味料を入れないでください)
とお願いしています。


■ayaziのブログ■

北京。おいしい生活。
*旧ブログは現在中国からアクセスできません。
*このリンク先を経由すると見られるかも。
 見たいページのURLを貼り付けてGO!してみてください。


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posted by ayazi at 18:00| 北京 🌁| Comment(2) | 地方菜(各地方の料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なるほどなるほど
焼き饅頭にはびっくりはじめてみました
それを注文した料理のソースにつけて頂きたいな〜
それってマナー違反かな???

Posted by at 2012年02月04日 11:40
まさにナマコのソースをつけていただきました!
Posted by ayazi at 2012年02月15日 13:54
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