2011年04月19日

【咱家餃子】鍋包肉

揚げた豚ヒレ肉の甘酢炒め
鍋包肉(guo1bao1rou4)
P1270474.JPG
【ところ:東直門南小街/ねだん:30元】

鍋包肉は東北料理。
下味をつけた薄切りの豚ヒレ肉に衣をつけて揚げ、
甘酸っぱい味付けで炒めたもの。

これをどうして鍋包肉と呼ぶかについては、
どうやらこんな謂れがあるらしい。

鍋包肉はハルビンの有名な料理人で鄭興文なる人物が作りだした料理だが、
いったん揚げた豚肉を仕上げに炒める際に、
チリチリに熱した中華鍋に調味料を入れ、
強火で手早く仕上げて一気に肉にしみ込ませるため、
もともとは「鍋爆肉」と呼ばれていた。

「爆(bao4)」は調理法で、
材料を高熱の油の中でざっと揚げ、
油を他に移してから揚げた鍋の中に調味料といっしょに入れ炒め上げること。
鍋で「爆」する肉料理だから「鍋爆肉」。
なるほど。

しかしその後ロシア人(ハルビンにはロシア人が多かった)が
この「鍋爆肉」の声調を正しく発音できず、
「爆(bao4)」の発音を「包(bao1)」と読んだのがいつのまにか広まって、
「鍋爆肉」が「鍋包肉」になってしまった。

ということなのだが・・・・・・
うーん、いかにもこじつけっぽいぞ。
ほんとかねえ??

ほかにも、
薄切り肉の周りを片栗粉で包むように衣をつけて揚げるから
鍋包肉という説明もある。
こっちのほうが説得力あるかも。

由来はともかく。

いったん油で揚げてから炒めるときの調味料は
砂糖と酢を使った甘酢っぱい味。
ここにショウガや葱の千切り、香菜などの香味野菜が入る。

同じように豚ヒレ肉を揚げて甘酢あん炒めにした料理に
糖醋里脊(tang2cu4 li3ji3)というのがあるが、
両者の違いはまず肉の切り方にある。
糖醋里脊の場合は細切りだけど、鍋包肉は薄切りだ。
揚げ衣も違うかな?
糖醋里脊は水溶き小麦粉だけど、鍋包肉は片栗粉。
だからふっくら揚がっているというよりは
ちょっぴりもちっとした食感がする。
あとは炒める際に香菜などの香味野菜がたっぷり入っているところと、
炒め調味料が割合色みのない仕上がりになっているところだと思う。
だから揚げた豚ヒレ肉の香ばしく揚がった様子が見て分かる。

ただし、実はケチャップ入りの鍋包肉というのもあって、
それは鍋包肉が遼寧省に伝わってから改良されたものだとか。
これを遼寧版鍋包肉というらしい。

咱家餃子の鍋包肉は若干ケチャップが入っているような感じなので、
遼寧版?
でも一応肉の衣の色は判別できるので、
かなりハルビン版寄りかな?

鍋包肉は糖醋里脊よりも炒め調味料につけたとろみが控えめで、
肉のまわりにからんでいるというよりは
肉の中にしみ込んでいる。
とは言っても完全にマリネ状態でじょびじょびになっているわけでもなく、
豚肉本来の繊維感ある食べ応えたっぷりの食感も残っている。
このあたりの加減がなかなか難しそうだ。

ほどよく調味ダレがしみ込んでいながら、
豚肉自体の繊維感たっぷりのおいしさも味わえる鍋包肉には
なかなか出会えない。
その点、ここの鍋包肉はいい塩梅で仕上がっていた。
東北滞在経験のあるmarchさんからも合格点が出たようだ。


▼これまでの「咱家餃子」関連記事
【咱家餃子】餃子
【咱家餃子】東北拉皮


▼お店情報
咱家餃子
東城区東直門南小街55号(海運倉胡同近く)
010-8404-5153
P1270468.JPG
<アクセス>
地下鉄2号線「東直門」駅下車。
東直門内大街を西方向へ進み、最初の交差点を左折。
東直門南小街を南へしばらく歩いて行くと、右手(西側)にあります。

「東四十条」駅からも行けます。
その場合は最初の東四十条を西に向かい、最初の交差点を右折して
東直門南小街を北上してください。
(どちらの駅から行っても同じくらいの距離です)


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posted by ayazi at 00:00| Comment(6) | 肉類(肉料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ayazi様!!
このあいだから、私に何か恨みでもあるのでしょうか?私の大好物ばかり紹介されたら、くどいようですが堪らないです!明日になったら五寸釘を買いに行く、あるいはayazi様の暗殺準備をする・・・のは非生産的だから止めにして、鍋包肉の材料でも買いに行きます。(涙+ヨダレ)


なるほど。ケチャップ入りは「遼寧版」なんですね。10年前に中国で初めて食べた鍋包肉はそのようなもので、大好きで何度も通って食べました。

ロシア人にとって声調を正しく発音するのが難しいということが、鍋爆肉の名前が鍋包肉に変わったことと関係あるかは知りませんが、中国で私の周囲にいたロシア人のほとんどが声調の違いを発音し分けられませんでした。(很が恨になってしまったりなんかして)声調の違いを聞き分けることさえできないロシア人も少なくなかったように思います。
Posted by Mikhaela at 2011年04月19日 01:54
学校給食の功罪の一つに甘酢の扱いがあったと思います
肉団子の甘酢かけ
酢豚
これが美味しくなくてそれ以来このての料理に対する味覚がおかしいと自分でも気付いています
直したい(笑)

素直に食べたいって書けばいいのにね(笑)
Posted by katka(かてぃか) at 2011年04月19日 08:40
>Mikhaelaさんへ

今では遼寧版のほうがポピュラーなんだとか。
ケチャップ味のほうがウケがいいんでしょうか。

声調は中国語学習で外国人がぶつかる難関の一つですね。
例えばロシア人は1声に発音してしまいやすいとか、何人かによって間違えやすい声調や間違いの傾向があるのかもしれませんね。
かくいう私も今だによくやらかしてしまいます。
Posted by ayazi at 2011年04月19日 13:22
>katka(かてぃか)さんへ

給食の味って、その後の味覚をある程度左右してしまうかもしれませんね。
その意味でとても大切だなあと思います。

ところで、私は給食の酢豚が好きでした。
いつもちょっとしか食べられないのでいつかおなかいっぱい食べたいと思い続け、高校の調理実習で習った後自宅で作り思う存分食べました。
そこで私の酢豚熱は終わりました。
反対に嫌いだったのが八宝菜でしたが、こちらも調理実習で作ったらたいそうおいしくて、その後は八宝菜好きになりました。

Posted by ayazi at 2011年04月19日 13:27
>咱家餃子の鍋包肉は若干ケチャップが入っているような感じなので、遼寧版?
>でも一応肉の衣の色は判別できるので、かなりハルビン版寄りかな?

それでは、地理的に間をとって、長春版ということにしてはいかがでしょう?
長春はまさに、私の思い出の地です〜
Posted by march at 2011年04月20日 00:06
>marchさんへ

では長春版鍋包肉ってことで!
このお店、ほんとに長春の人がやってたりして。
Posted by ayazi at 2011年04月20日 13:41
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