莜麺窩窩(you2mian4 wo1wo)
【ところ:亜運村/ねだん:24元】
西貝莜麺村というだけあって、
メインの料理はもちろん莜麺を使ったもの。
莜麺はハダカエンバクの粉で作った麺のことらしいのだが、
単にエンバクという説もあって正直なところよく分からない。
蒸したもの、炒めたもの、炒め煮にしたものなどいくつかあるが、
何と言ってもこの莜麺窩窩が代表的。
莜麺栲栳栳(you2mian4 kao3lao3lao)と呼ばれることもある。
▼旧ブログで紹介した「莜麺栲栳栳」
・【面酷(Noodle Loft)】莜面栲栳栳
(上のリンク先が表示されない方は、こちらのページを試してみてください)
*この記事で紹介した面酷(Noodle Loft)というお店は閉店しているようです!
この時の説明を再度アップ。
(山西麺のお店だったので山西省の食べ物として紹介しているけれど、
中国西北部である内モンゴル自治区でも一般的な主食だそうだ)
***
莜麦をこねて作ったタネを餃子の皮くらいのサイズに薄くのばしてくるりと一巻きし、
蒸籠で蒸したものをたれにつけて食べる。
たれは、卵とトマト、唐辛子油風味の黒酢、それに羊肉風味のスープ。
この羊肉風味スープが本式なのだが、
冷めてしまっていてかなり羊肉の臭みが強い。
苦手な人も多いだろう。
「栲栳(kao3lao3)」は山西省の田舎の方言で、
柳の枝や竹で編んだ升形の入れ物のことだそうだ。
莜麺の蒸籠蒸しになぜ枡形の入れ物の名前がついているのかは、
この料理の形状に関係がある。
莜麺は粘りけが足りず、
小麦粉で作った麺のように細麺状にのばすことができない。
それで小さめの円盤状にして丸めるのだが、
その形ですら、蒸すとくったりして倒れてしまうので、
一つ一つを密着させて蒸籠にきちきちに詰めていく。
もともとはその様子が「蜂窩(feng1wo1)=蜂の巣」に似ているので、
「莜麺窩窩(you2mian4wo1wo)」と呼ばれていたのだが、
それが後に「栲栳(kao3lao3)」に似ているとされて、
「莜麺栲栳栳」という名前がついたのだという。
これ、実はとびきり美味しいものではない。
実際、たくさん頼もうとしたら店員さんに
「雑穀麺だから、食べつけなくて口に合わないかもしれませんよ。」
と予防線を張られたくらいだ。
それもそのはず、莜麺はもともと山西省山間部の農民たちの日常食。
気候も寒くやせた土地の多いこの地域は小麦の栽培に適さず、
莜麦くらいしか育つ穀類がなかったのだという。
その粉で作った莜面は、手軽で腹持ちのいい安価な食べ物、
ぶっちゃけた話が粗末な食べ物なのだ。
「1000年余りの歴史がある食べ物」だと言えば聞こえはいいが、
要はそんな昔から食べられている原始的な食べ物だとも言える。
郭蘭英という有名な歌手が歌った山西民歌にも、
「……交城的大山里,没有那好菜飯,只有莜麺栲栳栳,環有那山薬蛋」
というフレーズがある。
「……町境の山ん中には、美味い飯なぞありゃしない。
あるのは莜麺栲栳栳だけ、それからジャガイモくらいのもんだ。」
これくらいしか食べるものがないほど貧しい地域の食べ物なのだ。
莜麺を作る莜麦は、「燕麦(yan4mai4)」、「玉麦(yu4mai4)」とも呼ばれる。
飢饉や寒さにも強い品種で、2500年余りも前から栽培されているという。
そんな原始的な穀物で作った貧しい地域の食べ物が、
今では食生活にアクセントを添える食品として結構人気を呼んでいる。
「栄養価が高くて、肝臓や腎臓によく、造血作用があって免疫力を高める」
「体が丈夫になり、頭や目が良くなり、美容にもいい」、
「コレステロールが下がり、糖尿病の治療にも効果がある」
などともてはやされ、
それをまた飽食の国、日本から来た私たちが、物珍しげに口にする。
2500年の歴史を持つ麦と、その麦を使った1000年の歴史を持つ料理。
お腹にも心にも、なんだか重たくこたえたのだった。
***
と、かなり長々と寄り道をしてしまったが、
話は戻って西貝莜麺村の莜麺窩窩。
莜麺はしっとり、もっちりとした食感はあるけれど
それも小麦粉ほどではなく、
なんだかちょっと素っ気ない感じ。
小麦粉を食べなれた舌には若干風味が足りなく感じられるかもしれない。
でもそれがだんだん好ましくなってくる。
雑穀系の主食って、
最初は味わいが素朴すぎて物足りないのに、
慣れるとかえってそれが好ましく感じられるようになる。
粟粥しかり、トウモロコシ粥しかり。
トウモロコシの粉を使った窩頭(wo1tou)や貼餅子(tie1bing3zi)も
最初はぼそぼそしていてまずいと思っていたのに
今やしっかり好物である。
西貝莜麺村の莜麺窩窩も本来は羊肉を使ったつけダレにつけて食べるのだが、
この日は他にこんな料理を頼んでいたので、
それをタレがわりにした。
胡辣羊頭(hu2la4 yang2tou2):48元
羊の頭のピリからスープ煮
見た目は黄色みの強いクリームシチューだけど、
これが結構しっかり辛かった。
羊肉の風味はよく出ていたし、味もまずまずだったのだが、
わざわざ頼むほどではないかも。
ここはやっぱりスタンダードなタレで食べたかった。
あれこれ欲張るとかえって失敗するという教訓。
莜麺窩窩にはこんな漬け物がついてくる。
これは美味。
いい箸休めになる。
他には、
豚骨スープで豆腐を煮込んだ猪骨頭炖豆腐(zhu1 gu3tou dun4 dou4fu):53元や、
野菜を蒸した大豊収(da4feng1shou1):36元を食べた。
ところでこのお店、
結構サービス品が充実していてうれしい。
私はヨーグルトを頼んだので出なかったが、
一緒に行った友人にはカボチャのお粥が出た。
それにテーブルには葵瓜子(kui2gua1zi)=ヒマワリの種が用意してあって、
注文した料理を待っている間の寂しい口を癒してくれる。
白酒なんかもついでに飲んじゃったりして。
▼お店情報
西貝莜麺(面)村(亜運村店)
朝陽区亜運村安慧北里安園8号楼1階
010-6498-4455/4466
http://www.xibei.com.cn/home.html
<アクセス>
地下鉄5号線「恵新西街北口」駅で下車して恵新西街をさらに北上するか、
「大屯路東」駅で下車して北苑路を南下。
慧忠北路にぶつかったら西方向に曲がりしばらく直進、
安慧北里中心街との交差点、北西角にあります。
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数年前の一時期、北京の日本語フリーマガジンには、面酷のこのような蜂の巣型麺の写真が続けて掲載されていて、印象強烈です。
一度、食べに行きたいと思ってましたが、「とびきり美味しいわけではない」の一文は北京に行く機会があるときのための参考になりました。
ついこの間北京にいらした方が行ってみたら閉まっていたそうです。
「とびきり美味しいわけではない」で、李莉さんがこの料理を食べる機会を奪ってしまったかも?
今更かばうようなことを言いますが、素朴な感じで嫌いではないのです。
ただ万人受けはしないと思います。
時々アクセントとして食べるにはいいかもしれませんが、ご旅行でいらっしゃるのならやはり別のものを食べたほうが満足感は高いかもしれません。
モンゴル族の女優さんがご馳走してくれた
んですが、生野菜のサラダもめちゃくちゃ
美味しくて、彼女いわく、ここのは肉も野
菜も内モンゴルから運んできているから、
比較的安心なの、と言ってましたね。
羊のリブ焼きとかも美味しかったです。
お肉だけでなく野菜も内モンゴル産なのですか!
素材選びにもだいぶこだわっているようですね。
蒸し野菜のニンジンやスナップエンドウも味が濃くてとてもおいしかったです。
今度行ったらリブ焼きも試してみます!