2010年05月30日

【爆肚馮 金生隆】[シ刷]羊肉

羊肉しゃぶしゃぶ
[シ刷]羊肉(shuan4 yang2rou4)
P1210803.JPG
【ところ:鼓楼大街・爆肚馮 金生隆/ねだん:記事参照】

爆肚馮 金生隆は、爆肚の名店であると同時に、
[シ刷]羊肉(shuan4 yang2rou4)=羊肉しゃぶしゃぶがおいしい店でもある。

爆肚馮 金生隆によれば、
本当の[シ刷]羊肉にはいくつか条件がある。

【その一】鍋
 必ず銅鍋で、炭火を使って沸かすこと。
【その二】肉
 内モンゴル産の羊肉で、部位は必ず8種類。
 機械ではなく包丁で手作業で切ってあること。
【その三】タレ
 豊かな風味で、濃さがちょうどいいこと。
 最初の一口はしょっぱすぎず、最後の一口になっても薄く感じないこと。

ふむふむ。
では、爆肚馮 金生隆の[シ刷]羊肉がその条件に当てはまっているか、
一つずつ見ていこう。

【その一】鍋

お店に着くとまず眼に入るこの光景が、
この店の[シ刷]羊肉が本格派であることを十分に物語っている。

P1210773.JPG

なるほど、鍋は確かに真ん中に煙突のような突起のある[シ刷]羊肉専用の銅鍋だ。
これは一目瞭然。

P1210776.JPG

鍋に炭火をくべてお湯をチリチリに熱し、
頃合いになったらテーブルまで運んでくるのはこのおじいちゃんのお仕事だ。

ちなみにおじいちゃんはお鍋がテーブルに出されてからも
こうしてやかんを持って各テーブルを周り、
鍋のお湯が少なくなるとやかんからお湯を足してくれる。

これは別の日のもの。

P1220067.JPG

煙突みたいな炭火を入れる部分から炎が飛び出している。
炭火の火力ってすごいんだね。

P1210810.JPG

炭火で沸かしたお湯は、心なしかなめらかでやわらかい。
湯気も細やかでミストのようだ。

P1210806.JPG

ちなみにしゃぶしゃぶのスープは炭と合わせて10元。
炭を足すのは無料だそうだ。

【その二】肉

爆肚と同じように、[シ刷]羊肉に使う肉についても部位の説明図がある。

P1210813.JPG

肉自体が見えていないのでいまひとつ分かりにくいところはあるが、
日本の羊肉の部位の分け方に当てはめてみると・・・

(左から時計回りに)
@羊上脳(yang2shangnao3)=ネック?ショルダー?
A大上叉(da4shangcha1)=ショートロイン
B羊里脊(yang2li3ji3)=テンダーロイン(ヒレ)
C羊磨档(yang2mo2dang4)=?(尻尾の下のおしりのところ)
D一頭沈(yi4tou2chen2)=レッグ?
E黄瓜条(huang2gua1tiao2)=トップサイド(ももの内側)
F羊腱子(yang2jian4zi)=?(ふくらはぎの筋の発達したところ)
G羊筋肉(yang2jin1rou4)=?


ちなみに左の真ん中にあるのは鮮肥牛で、つまり牛肉。

うーむ、全部書き出してみたものの、「?」ばかりで面目ない・・・

羊肉の各部位は、
メニューでは脂身の分量によってこんな風に分けられている。

・大上叉(五成肥 嫩)
・羊筋肉(五成肥 脆香)
・羊上脳(三成肥 嫩)
・羊磨档(二成肥 嫩)
・羊里脊(純痩 嫩)
・羊腱子(純痩 脆嫩)
・一頭沈(肥痩 嫩)
・黄瓜条(肥痩 嫩)


「●成肥(●cheng2fei2)」は、脂身が何割くらいあるかということ。
「五成肥」なら五割がた、
「三成肥」なら三割脂身があるってことだ。
「純痩(chun2shou4)」は脂身がない、
「肥痩(fei2shou4)」は赤身と脂身が半々?
でもそれだと「五成肥」と同じだし、
実際の肉質は赤身に少しだけ脂身が入っている感じなんだけどな。
黄瓜条=テンダーロインの説明を見ると、
「やわらかくて脂肪がない」となっているなあ。

まあ、それはともかく、確かに部位は8種類。
本格派の条件にぴったりだ。
でも、正直なところこんなに沢山部位があると、
かえって注文するのに困ってしまう。

そんな時、何を置いてもまず頼むべきは黄瓜条だ。

黄瓜条(huang2gua1tiao2):23元
P1210792.JPG

や、やわらかい!
そしていやな臭みも全くない!
羊肉の概念を一変させる衝撃的なおいしさだ。

後日一緒に食事をした方からは
「タレをつけたくない」
「いつまでも噛んでいたい」
「焼尻島の羊肉に匹敵する!」
(焼尻島の羊肉は海風にさらされる海べりの草を食べて育つので
独特の風味があるのだとか)
という台詞が飛び出したくらいだ。

このお店に来たら、何を置いてもまず黄瓜条!
でも、それだけというのも寂しいので
「他に何かオススメはありますか?」
と聞いてアドバイスしてもらったのが羊上脳。

羊上脳(yang2shan4nao3):23元
P1210793.JPG

もう一つ勧められたのが牛腱。

牛花腱(niu2hua1jian1):30元
牛のふくらはぎの筋の発達したところ

P1210794.JPG
*もしかしたら羊上脳と牛腱の写真は反対かも?

機械で切った冷凍肉は
お湯の中でしゃぶしゃぶすると縮んでしまい、
口の中に入れても頼りなく、羊肉を味わうところまでいかない。
(その薄さが好きだという人もいると思うし、
私自身もあのくるくるっと丸まった冷凍肉を見ると
なんとなくしゃぶしゃぶ気分が盛り上がったりもするけど)

ここの肉はすべて生で、しかも厚みを残した切り方をしているので
しっかりと肉の味を噛みしめることができる。

P1210807.JPG

【その三】タレ

[シ刷]料(shuan4liao4):5元
しゃぶしゃぶ用のタレ

P1210778.JPG

ゴマの風味が豊か。
確かに、しょっぱすぎず、かといって味が足りないわけでもない。

今気がついたが、
いつもならしゃぶしゃぶのタレには必ず辣椒油(la4jiao1you2)=ラー油をたらすのが決まりなのに、
ここではまったく入れようという気にならなかった。

肉を存分に味わったら、野菜や豆腐、春雨などの具を楽しもう。
この日は人数が少なかったので頼んだのはちょっとだけ。

自漬酸菜(zi4zi4 suan1cai4)=白菜の自家製漬物:8元
白菜(bai2cai4)=白菜:5元
蒿子杆(hao4zigan3)=春菊:8元

P1210799.JPG

酸菜をしゃぶしゃぶで食べるの、オススメ。

[シ刷]羊肉と言えば、欠かせない主食がこれ。

芝麻焼餅(zhi1ma2 shao1bing3):1元
シャオビン

P1210791.JPG

講談社の中日辞典の説明を引用すると、
「小麦粉を発酵させて薄く伸ばし、
 油またはゴマ油のかすや塩などを塗り、
 ぐるぐる巻いてから適当な大きさにちぎり、
 円形に整えて、天火で焼き上げた食品」。

長っ!
なのでもう面倒なので「シャオビン」。

表面にゴマがたっぷりかかっていて香ばしい。
周りの皮はパリパリで、中は意外にしっとり。

P1210809.JPG

私はしゃぶしゃぶの仕上げに、
残ったスープでタレを薄めて焼餅をつけながら食べるのが好き。
だからもうすぐ食べ終わる頃に焼餅を頼むことが多いのだが、
この店では最初の注文の時に頼んでしまうこと。
時間が遅くなると売り切れてしまうことが多いのだ。

鍋の仕上げには、雑麺(za2mian4)と呼ばれる乾麺もよく食べる。

P1220078.JPG

このお店、以前は東四十条にあったが、
去年(だったかな?)今の場所に引っ越した。
東四十条の前にはまた別の場所にあったそうで、
結構頻繁にお店の場所を移している。

住所は変わっても電話番号は変わらないそうで、だから
「お店に行く前に必ず電話をかけて、
『まだ引っ越してない?』って確認することにしている」
という常連さんもいる。

四代目は日本に滞在したことがあって、結構流暢な日本語を話す。
中国語での電話に自信がなくても日本語で応対してくれるので安心。
ちなみに、四代目はなかなかのイケメンで、とてもおしゃれ。
低くてつやのある声もとても魅力的だ。

とは言え、この日以降1ヶ月くらいの間に三回も通ってしまったのは
四代目に会いたかったからではもちろんなくて、
ひとえにこの店の羊肉のおいしさに魅せられたからだけどね。

P1210795.JPG

▼過去の「爆肚馮 金生隆」関連記事
【爆肚馮 金生隆】爆肚


▼お店情報
爆肚馮 金生隆
西城区安徳路六鋪[火亢]一巷餐飲街
010-6527-9051
P1210772.JPG
<アクセス>
地下鉄二号線の「鼓楼大街」で下車し、北へ向かいます。
安徳路にぶつかったら左折し、
一本目の路地(「六鋪[火亢]一巷美食街」という看板がある角)を右に曲がると、
右手にあります。
P1210817.JPG
(この看板のところで右折!)


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posted by ayazi at 18:29| Comment(6) | 火鍋(鍋料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いいですね!この店の雰囲気をよく伝えていると思います。何しろ、スタッフはお話し好きで、日本から来たと分かるといろいろなことに話が及びます。そして、サービスも格段に良くなりました。惜しむらくは時々品質に問題ありと言うときもありましたが、今では見事に跳ね返し、京味文化についても一家言あるらしくそのこだわりについて聴くこともできました。北京語の語彙についていろいろと教えていただきました。あるときは渡燕したのに、大老板は日本に行っていると追われ、見事にすれ違ったこともありました。
ともあれ、羊肚仁を突っつきながらこの店特製の白酒をやっているうちに、炭鍋の香りを拝めるのはやはり至福の時です。チェイサーは茉莉花を頼んでいます。老北京のたしなみの一つ、二鍋頭の後は茉莉花を頂く、というのを奥野信太郎先生の随筆を読んでいるうちに試してみたくなり、金生驍フ大老板と共に文学を語り合ったのを思い出しました。
Posted by 龍心 at 2010年05月30日 20:08
「羊肉」に反応してしまいました。
羊肉好きの私にはモンゴルの羊肉はどんな感じかとても気になります。
見るからに美味そう〜ジュルッ

Posted by ぴょん吉 at 2010年05月31日 00:20
>龍心さんへ

残念ながらまだ大老板にはお会いしたことがありません。
なので文学談義も北京語講座もその機会はなく・・・いつかはお会いできるでしょうか??

白酒のチェイサーは花茶が老北京のたしなみなのですね。
次には私も「たしなんで」みます。
Posted by ayazi at 2010年06月02日 23:53
>ぴょん吉さんへ

日本の羊肉の本場のご出身ですもんね!
でもたぶん、こっちのほうがおいしいと思います。
ほんと、噛みごたえはありつつもやわらかい。
美味しいのでぜひ食べに来てください〜
Posted by ayazi at 2010年06月02日 23:55
北京では、是非ともshuan羊肉をいただきたいと、あれこれ物色しておりましたが…これで決まりました。
美しく盛られた冷凍のお肉よりも、こちらのお肉にそそられます。
お店があまり巨大そうでないところも、なんとなく落ち着けそうで、良いです。
イザとなったら日本語でOKそう?なところもポイント高いです(笑)
今から、とっても楽しみです。
Posted by SAKURAKO at 2010年06月05日 22:31
>SAKURAKOさんへ

お店はとてもこじんまり。
地元の人でにぎわうローカルな雰囲気のお店です。
ここの羊肉は本当においしいですよ。
強力大推薦です。
四代目は日本語OKですし、他の店員さんもとても感じがよくて親切ですよ。
Posted by ayazi at 2010年06月07日 23:07
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