爆肚(bao4du3)
【ところ:鼓楼大街・爆肚馮 金生隆/ねだん:記事参照】
日本から「聴く中国語」でお世話になった元雑誌編集者のTさんが来燕。
「地元の人でにぎわっているようなお店」とのリクエストだったので、
爆肚馮 金生隆というゆでモツとしゃぶしゃぶのお店を選んだ。
とは言え、私もこのお店は初めて。
このお店を今頃初訪問なんて、北京ローカルグルメを語る者としてはモグリ!
と突っ込まれてしまいそう。
そのくらい有名なゆでモツの名店「爆肚馮」の流れを汲むお店だ。
今北京には「爆肚馮」を名乗るお店が二軒ある。
いや、正確に言えば一軒かな。
“本家”「爆肚馮」はこの日訪れたお店とは別に、
前門や九門小吃内に店を構えている。
実はこちらのお店、
跡目争いに敗れて「爆肚馮」を名乗ることができなくなってしまったほうのお店。
それで、「爆肚馮」の看板は「馮」の字の馬の部分を紙で覆ってある。
そんなことまでして「爆肚馮」の名前を放棄しないのは、
聴くところによると
工商局から「そのうちなんとかなるから」とかなんとか言われたからなんだとか。
「馮」の字にちょっと細工をして「そのうち」を待っているのだそうだ。
跡目争いに敗れたとは言え、
ここの爆肚=ゆでモツは大変美味。
羊だけで9種類、牛も合わせると
(牛の盛り合わせの分までカウントしてました。12種類です!!)
ちなみに羊肉しゃぶしゃぶも絶品だ。
ここの羊肉は冷凍肉をいっさい使わず、
(こちらは鮮肥牛まで入れておりました。8種類の誤りでした。)
爆肚、しゃぶしゃぶともに味わったのだが、
今回はまずは爆肚のほうだけ先にアップしたい。
最初に、この部位図を見てほしい。
いまだかつて、これほど詳細な部位図を見たことがあっただろうか。
感動。
内蔵全体ではなくて、全部胃袋だけどね。
羊には四つ胃袋があるのは周知の通り。
でも、それぞれの名前を全部覚えている人はあまりいないのではないだろうか。
・第一胃:ミノ
・第二胃:ハチノス
・第三胃:センマイ
・第四胃:ギアラ
第一胃と第二胃は反芻胃で、
口に戻して噛み直しながらゆっくり消化するための胃。
第三胃は内側にひだがありとげとげみたいな突起のあるセンマイで、
第四胃が人間の胃袋に相当するのだそうだ。
羊の胃袋で一番大きいのは第一胃にあたるミノ。
ほかの三つの胃袋をあわせても及ばないくらい大きいのが見て分かるだろうか。
だからなのか、爆肚の材料としてのミノは、
単に「ミノ」と片付けられずに細かく分かれている。
金生隆の分け方を見てみよう。
@羊肚芯(yang2du3xin1)=上ミノ?
A羊肚仁(yang2du3ren2)=ミノの周りに隆起したスジのようなもの(皮をむいた状態)
B羊肚領(yang2du3ling3)=ミノの周りの隆起したスジのようなもの
C羊肚板(yang2du3ban3)=ミノ
D羊葫蘆(yang2hu2lu)=ハチノス
E羊散丹(yang2san3dan1)=センマイ
F羊[草冠+磨] 磨iyang2mo2gu)=ギアラ
G羊[草冠+磨] 俣ェ(yang2mo2gutou2)=ギアラの尖端
H羊食信(yang2shi2xin4)=
*酒徒さんのコメントや、
毎日新聞のこちらの記事を参考にして、補完しました。(2010/6/25修正)
(↑)思い入れのあるもう一つのお気に入りゆでモツ店「爆肚張」について、
北京の浦松記者がとても愛情にあふれた記事を書いていらっしゃいます。
ミノだけで4種類。
日本語でミノをさらに細かく分けた言い方を知らないので
なんとも頼りない説明になってしまっていて申し訳ない。
Aの羊肚仁とBの羊肚領はどちらもミノの周りの隆起したスジのようなものだが、
この写真を見る限り、
肚領はミノ全体をぐるりと取り巻いている部分のようだ
肚領はミノ全体をぐるりと取り巻いているスジの皮をむかない状態、
肚仁は肚領の皮をむいた中身ということのようだ。
考えてみれば、仁(ren2)は「中身、むき身」という意味があるもんね。
@の羊肚芯とCの羊肚板は、上ミノとミノってことでいいのかな?
Eの羊散丹(センマイ)については、
散丹が羊のセンマイ特有の名前だということを覚えておけばいい。
後述するが、牛のセンマイは百葉(bai3ye4)と言う。
Fの羊[草冠+磨] とGの羊[草冠+磨] 俣ェはどちらもギアラ。
ギアラの先っちょに「あれ?五つめの胃?」と思ってしまいそうな
袋状のものがあるが、それが羊[草冠+磨] 俣ェってことかな。
H羊食信はナゾ。
これ、なんて言うんでしょうか??
→酒徒のコメントにより、どうやら食道であることが判明。
一方、牛の胃袋は4種類。
@牛百葉(niu2bai3ye4)=センマイ
A牛肚仁(niu2du3ren2)=ミノの周りに隆起したスジのようなもの?
B牛厚頭(niu2gou4tou)=?
C牛百葉尖(niu2bai3ye4jian1)=センマイの先端部?
D牛三様(niu2san1yang4)=牛肚仁、牛厚頭、牛百葉尖の盛り合わせ
Dは盛り合わせなので、
金生隆の牛胃袋ラインナップは4種類ということになる。
最近酒徒さんが牛モツ考についての記事をアップされていて、興味深く読んだ。
羊モツと合わせて、酒徒さんとぜひ一度検討試食会をやりたいものだ。
金生隆のメニューでは、
食材の軟らかさによってモツを分けている。
一番の高級品で、お店としてもオススメなのが
極嫩(ji2nen4)=非常に軟らかい、極上品。
・羊肚仁(yang2du3ren2)=ミノの周りに隆起したスジのようなもの
次が脆嫩(cui4nen4)=歯ざわりがよく軟らかい。
・羊散丹(yang2san3dan1)=センマイ
さらに、老嫩適中(lao3nen4 shi4zhong1)=ほどよい軟らかさ。
・羊肚芯(yang2du3xin1)=上ミノ?
・羊肚領(yang2du3ling3)=ミノの周りの隆起したスジのようなもの
・羊[草冠+磨] 俣ェ(yang2mo2gutou2)=ギアラの尖端
最後が硬貨(ying4huo4)=硬い。
・羊肚板(yang2du3ban3)=ミノ
・羊葫蘆(yang2hu2lu)=ハチノス
・羊[草冠+磨] 磨iyang2mo2gu)=ギアラ
・羊食信(uyang2shi2xin4)=ミノ?から伸びている管のようなもの
お店のオススメでもあり、食べてやはり白眉と思わされるのは羊肚仁だ。
羊肚仁:48元
シャクッとしつつムニムニ感もある独特の食感。
羊散丹=のセンマイも、
今まで食べた中では最も臭みのないいいものだった。
羊散丹:20元
ああ、トゲトゲが美しい。
この日は食べなかったが、
後日硬貨(羊四様=四種類の硬いモツ盛り合わせ)にも挑戦した。
「ほんとに硬いですよ」
と心配顔のお店の人を制して
「いんです。食べてみたいから」
と頼んだ硬貨盛り合わせは、本当にコリンコリンだった。
・・・もう頼まなくていいかも。
爆肚は牛と羊の胃袋をゆでてゴマだれにつけて食べる料理。
タレも爆肚のおいしさの決め手だ。
かなり濃い目の色合いに見えるが、決してしょっぱくはない。
割合あっさり。
たっぷり入ったゴマペーストの風味もいい。
爆肚には水爆牛肚と水爆羊肚があるが、
この日は羊のモツだけ食べた。
金生隆によると、
爆肚を愛する人はやはり羊の胃袋を好むのだそうだ。
確かに、ここの水爆羊肚を食べたら、
羊しか食べたくなくなるというのも頷ける。
▼お店情報
爆肚馮 金生隆
西城区安徳路六鋪[火亢]一巷餐飲街
010-6527-9051
<アクセス>
地下鉄二号線の「鼓楼大街」で下車し、北へ向かいます。
安徳路にぶつかったら左折し、
一本目の路地(「六鋪[火亢]一巷美食街」という看板がある角)を右に曲がると、
右手にあります。
(この看板のところで右折!)
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いや〜、オモシロい。拍手。喝采。
流石ですね。
改めて、ayaziさんのヘンタイっぷりを認識致しました。
こりゃ、行かなきゃな。
おおたま
例によって確信を抱くには至っていないのですが、食信は食道だったと思いますので、牛で言うところのノドスジですかね。
比較検討会、是非やりたいですねえ。
羊肚仁なんて、ホントご無沙汰ですよー。
実はヘンタイどうしの競演で山羊モツを食べたときにもこの写真は撮ってあったんです。
あの時にこのモツ研究をやっておけばよかった・・・と今さらながら思ってます。
山羊モツの記事をアップする時に、モツ懐石の解析(?)をする予定です!
ここのお店、きっとお気に召すと思いますよ。
ぜひ!
でしょう?でしょう?
これで今までぼんやりとしか分からなかった羊モツの世界が一気にクリアーになりました。
肚仁と肚領の違いが今ひとつ分からないのですが、確かに肚領は皮がついていたような気もするので、酒徒さんのおっしゃる通り肚仁がむき身ってことなのかもしれません。
食信は食道なのですね。
なるほど!
爆肚張もいいですが、ここもすばらしいですよ!
ぜひ今度ご一緒したいものです。
引越し魔のお店をかなりフォローしているのですね!
大老板のお姿は拝見したことがありませんが、若手の老板はお元気にしていらっしゃいます。
日本語、お上手ですよね。
ちょっと強面ですけど(笑)、接客はとても丁寧で親切で、好感度大です。